勇者「死神のご加護がありますように。」その4 【完結】

勇者「死神のご加護がありますように。」その1

勇者「死神のご加護がありますように。」その2

勇者「死神のご加護がありますように。」その3

659:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/20(火) 01:31:45 ID:t8kbD0Z.

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勇者「…こうして今の俺に至るわけだ」

魔法使い「………」

勇者「わかったろ。俺はこんな最低な人間なんだよ。わかったらさっさと寝な」

魔法使い「……でも、勇者様は私たちを助けてくれたじゃないですか」

勇者「あん?」

魔法使い「……身を挺してまで私たちを助けてくれたじゃないですか」

勇者「……勘違いするな。俺は死ぬわけにはいかねえんだよ。何があってもな」

魔法使い「ですが…」

勇者「前に言ったろ? お前らは結局捨て駒だ。魔王戦の為に取っておいてるだけだ」

魔法使い「………」

勇者「魔王と戦うことになればお前らなんて簡単に切り捨てる。そう言ったろ」

魔法使い「……いえ、それは違います」

勇者「……あん?」

660:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/20(火) 01:37:13 ID:t8kbD0Z.

魔法使い「だったらわざわざ最後まで私を連れて行くわけがないんです。こんな足で纏い壁にもならないじゃないですか」

勇者「だからずっと帰れって…」

魔法使い「ですが結局一度も帰すことはありませんでした。おかしくないですか?」

勇者「だったら今すぐにでも…」

魔法使い「…結局…師匠さんとの…勇者様のお母さんの教えを守ってるじゃないですか」

勇者「………」

魔法使い「どんなことをしてでもとは言いながら人は殺さない。勇者様のお母さんのように、困っている人が居れば助ける」

勇者「………」

魔法使い「しっかり守ってるじゃないですか…」

勇者「……これは罰なんだ」

魔法使い「……え?」

661:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/20(火) 01:44:39 ID:c8OTRoto

勇者「もちろんこんなことで許されるわけがねえってのはわかってる。中佐と師匠は相当を俺を恨んでるだろうからな」

魔法使い「そ、そんなこと!!」

勇者「違わねえんだよ。俺のせいで二人共死んだんだ。恨まねえはずがねえ。俺が奴らの幸せをぶち壊したんだ」

魔法使い「………」

勇者「だから俺はもうあいつらみたいな奴を出すわけにはいかねえ。守られてばかりじゃなく、守らなくちゃいけねえんだ」

魔法使い「…勇者様」

勇者「…そのためにはどんなことでもする。俺が仕留めそこねたから師匠は死んだんだ」

魔法使い「……」

勇者「だから俺は目的の為には手段を選ばねえ。相手を殺してでも大切な物は守る。もうあんな後悔はしたくねえ」

魔法使い「……」

勇者「だから俺は助けなきゃならねえ。殺した102人分の命を取り戻さなくちゃいけねえ。辻褄を合わせなきゃならねえんだ」

魔法使い「え? 102人?」

勇者「……あぁ。中佐も師匠も俺が殺したからな」

魔法使い「……」

662:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/20(火) 01:51:28 ID:fQbl5axw

勇者「辻褄を合わせ。ただそれだけだ。魔王を倒せば本来死ぬはずだった大勢の命が救われる。お前らが死んだところでお釣りが来るくらいだろ」

魔法使い「勇者様…」

勇者「だから俺はどんな手を使ってでも魔王を倒す。例えお前らが死んだとしてもな」

魔法使い「……」

勇者「わかったか。だったらさっさと寝な」

魔法使い「……ですが」

勇者「お前がどんだけ喋ろうと俺はもう寝る。おやすみ」

魔法使い「……おやすみなさい」

勇者「………」

魔法使い「………」

魔法使い(……魔王の為に取っておいてる…か)

魔法使い(……ですが、勇者様…悲しい目をしてました)

魔法使い(それは本心ではないような…無理して言っているような…そんな…目でした)

663:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/20(火) 01:58:57 ID:fQbl5axw

チュンチュン

勇者「おい、ガキ。起きろ」ゲシッ

魔法使い「うぐっ…。痛い…」

勇者「おら、さっさと行くぞ。いよいよ魔王討伐の日だ」

魔法使い「……勇者様」

勇者「…さっさと準備しやがれ。俺は先に外行ってるぞ」

魔法使い「……あっ」

バタンッ

魔法使い「………」

魔法使い「……勇者様の目…。真っ赤だった…」

魔法使い「きっと…勇者様にも思うところがあったんでしょうね…」

魔法使い「………」

魔法使い「……うん。とりあえず準備しよう」

魔法使い「…勇者様のためにも…魔王を倒さなきゃですよね」

664:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/20(火) 02:03:21 ID:fQbl5axw

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魔法使い「す、すみません!! 遅くなりました!!」

戦士「やあ、おはよう。魔法使いちゃん」

僧侶「おはようございます」

勇者「ったく、おせえんだよ、クソガキが」

魔法使い「…申し訳ありません」

勇者「魔王が怖くて寝れなかったのか? あん?」

魔法使い「……えぇ、そうですね」

勇者「……」

戦士「まあそりゃそうだろうね。私も昨日はあまり寝付けなかったからな」

僧侶「えぇ、私もです」

勇者「あぁ…そうかい」

665:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/20(火) 02:06:46 ID:fQbl5axw

魔法使い「えぇ…。ですが頑張りましょう!! 魔王を倒して、皆で帰りましょう!! ね!!」

勇者「………」

戦士「…あぁ、そうだな!! 皆で帰ろう!!」

僧侶「えぇ!! そうですね!!」

勇者「…まっ、精々頑張んな」

戦士「全く…。君はそうやって…」

僧侶「まあまあ。兎に角行きましょう。魔王城はもうすぐですよ!!」

魔法使い「はい!! 皆さん頑張りましょう!!」

戦士「おう!!」

僧侶「はい!!」

勇者「……あぁ、そうだな」

魔法使い「じゃ、張り切って行きましょう!!」

「「おー!!」」

勇者「お前がしきってんじゃねえよ」ゲシッ

魔法使い「いてっ!!」

667:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/20(火) 02:09:38 ID:fQbl5axw

魔法使い「ちょ、ちょっと何するんですか!!」

勇者「朝っぱらから騒々しいんだよ」

魔法使い「なんですとー!!」

勇者「……ありがとな」ボソッ

魔法使い「え?」

勇者「…うるせえなっつたんだよ、バカッ」

魔法使い「な、なんですか!! もう!!」

勇者「おら、さっさと行くぞ。クソガキ。置いてくぞ」

魔法使い「…まったく」

魔法使い(…本当はちゃんと聞こえてましたよ)

魔法使い(本当に素直じゃないですね…)

魔法使い(…魔王…絶対に倒しましょうね。勇者様)

勇者「本当に置いてくぞ」

魔法使い「ま、待ってくださいよー!!」

684:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/31(土) 22:25:59 ID:U3cb15WM

僧侶「……ここが魔王城ですか」

戦士「…如何にもという感じだな」

魔法使い「なんかこう…オーラが出てますね」

勇者「どうでもいいがさっさと入ろうぜ。もう疲れたぜ、俺わ」

魔法使い「人に散々体力ないっていう割にだらしないですねぇ」

勇者「俺は頭脳派だからな」

魔法使い「何を言ってるんですか」

勇者「日本語講座開いてやろうか?」

魔法使い「そういう意味じゃないです」

戦士「だがそうだな。ここで立ち往生していても仕方あるまい」

勇者「だろ? ほら、行くぞ」

僧侶「…えぇ、そうですね」

魔法使い「ちょ、ちょっと待ってください!! 心の準備が!!」

勇者「そんなもの昨日のうちにしとけ。おら、行くぞ」ズルズル

魔法使い「あぁ!! 引っ張らないでください!!」

685:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/31(土) 22:31:06 ID:U3cb15WM

ギィ

魔法使い「いーやー!!」

勇者「うるせえ。反響して余計にうるせえ」

戦士「……しかし随分と閑散としているな」

僧侶「そうですね…。もっと沢山魔物がいるものだと思っていましたが…」

勇者「…確かに妙だな。静かすぎるな」

戦士「…罠か?」

魔法使い「うぇ!? だったらやばいじゃないですか!! ここは一時作戦を練って!!」

勇者「んなもん考えるだけ無駄だろうが。とりあえず進むぞ」

魔法使い「ゆ、勇気と無謀は違うと思います!!」

勇者「だったらお前作戦思いつくのかよ」

魔法使い「……」

勇者「そういうことだ。ほら、行くぞ」

魔法使い「あぁ!! そんな殺生な!!」

686:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/31(土) 22:36:11 ID:U3cb15WM

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コツコツ

戦士「…しかし本当に一匹も居ないな。まさか場所を間違えたか?」

僧侶「…いえ、それはないと思います。奥の方に強い魔力を感じます」

勇者「あぁ、そういえばそんな能力あったな。忘れてたわ」

戦士「だが何故こんなにも静かなのだ。今のところトラップも何もないし…」

勇者「さあな」

魔法使い「やっぱり私たちに恐れをなして」ガクガク

勇者「足震えてんぞ」

戦士「しかし魔王城だというのにこんな手薄でいいのか?」

勇者「知るかよ。俺にはお偉いさんの考える事はさっぱりわかんねえよ」

687:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/31(土) 22:41:53 ID:U3cb15WM

戦士「うーむ…。だが…」

勇者「そんなに悩んでたら白髪まみれになっちまうぞ」

戦士「なるか、馬鹿」

僧侶「でも妙ですね…。奥の方からは強い魔力を感じるんですが…。それも複数…」

勇者「…何? それはどのくらいだ?」

僧侶「…数えきれないくらいです」

戦士「なんだと!? だったら何故各地に配置しないのだ!?」

魔法使い「や、やっぱり恐れをなして」ガクガク

勇者「…待てよ」

戦士「なんだ!? 何かわかったのか!?」

魔法使い「やはり私の言う通りというわけですか!?」ガクガク

勇者「んなわけあるか。いや、まだ憶測でしかねえが…」

僧侶「っ!? 勇者様!! 魔力が一斉に消えました!!」

魔法使い「に、逃げ出したんですか!!」キラキラ

勇者「ちげえよ馬鹿!! くっそ!! 遅かったか!!」

688:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/31(土) 22:46:02 ID:U3cb15WM

戦士「勇者!! 説明を…」

ヒュン

「グルルルル…ッ!!」

戦士「なっ!?」

魔法使い「ま、魔物が沢山!!」

勇者「…こういうこった」

僧侶「し、しかし何故急にこんな大勢が!?」

勇者「説明はあとだ。このマザーファッカー共を潰すのが先だ」

戦士「…そうだな」ジャキッ

僧侶「…わかりました。援護は任せてください」

魔法使い「た、タンマ!! こ、心の準備が!!」

「ガウッ!!」ダッ

魔法使い「きゃああああ!! きたあああ!!」

ヒュン

勇者「待ってくれるわけねえだろ、タコスケ!!」スパッ

689:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/31(土) 22:50:36 ID:U3cb15WM

魔法使い「うっ…。ありがとうございます…」

勇者「足引っ張るんじゃねえよ…っと!!」スパッ

戦士「魔法使いちゃん!! 戦うしかないよ!!」ブンッ

魔法使い「は、はいっ!!」

戦士「たあああああああ!!」ブンッ

勇者「あーらよっと」スパッ

魔法使い「ひ、火術!!」ゴウッ

「ガウガウ!!」ガブッ

戦士「く…っ!! これしき…はああああぁあ!!」ブンッ

「キャインッ!!」

僧侶「回復魔法!!」キュイン

戦士「…ふう。ありがとう、僧侶ちゃん」

僧侶「いえいえ」

勇者「喋ってる場合じゃねえぞ!! さっさと潰すぞ!!」

「「「はいっ!!」」」

690:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/31(土) 22:56:48 ID:U3cb15WM

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「ガウガウッ!!」

勇者「…ちっ。キリがねえぞ、こいつら」

魔法使い「はぁ…はぁ…。何体居るんですか…」

僧侶「……うぅ」

戦士「……」

「ガウッ!!」ダッ

勇者「だああああ煩わしい!!」スパッ

魔法使い「これじゃあ魔王の所になんて着きませんよ!」

勇者「くっそ! 今日中にたどり着くのか?」

戦士「…勇者。先に行け」

勇者「……あん?」

691:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/31(土) 23:00:19 ID:U3cb15WM

戦士「こんなの所で時間を使っている暇はない…。ここは私に任せて先に行くんだ!!」

魔法使い「戦士さん!! ですが!!」

勇者「…そうだな、行くぞ」

魔法使い「勇者様!! 一人で残す何て危険すぎます!!」

勇者「アホ、誰が戦士一人置いてくっつった」

魔法使い「え?」

勇者「おい、僧侶。お前も残ってやれ」

僧侶「えっ? 私もですか?」

魔法使い「ちょ、ちょっと!! 私と勇者様で魔王倒すんですか!?」

勇者「ん? そのつもりだけど?」

魔法使い「正気ですかっ!?」

勇者「正気で勝機あると思うぜ」

692:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/31(土) 23:03:15 ID:U3cb15WM

戦士「ゆ、勇者、それはいくらなんでも…」

僧侶「流石に二人では厳しいかと…」

勇者「なんだ、お前ら? 俺らのこと信じてねえのかよ?」

魔法使い「はいっ!! 心もとないです!!」

勇者「お前に発言権はねえよ」

魔法使い「酷くないですか!?」

戦士「し、しかし…」

勇者「いいからお前らはちゃっちゃとこいつら倒して俺に追いついてくれよ。待ってんぞ」

僧侶「…まぁ勇者様がそういうなら」

戦士「…わかった。ま、それまでに倒していてくれるとありがたいんだがな」

魔法使い「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!!」

勇者「やだ。じゃあ頼んだぞ、お前ら」ヒュン

魔法使い「ちょっ」ヒュン

693:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/31(土) 23:06:49 ID:U3cb15WM

ヒュン

勇者「よっしゃ、走れ、魔法使い」ダッ

魔法使い「うぇっ!? な、なんでほんのちょっとしか移動しないんですかぁ!!」ダッ

勇者「魔力が勿体ないだろうが。ほら、急がねえと追いつかれんぞ」

「ガウッ!!」

魔法使い「いーやぁー!!」

戦士「行かせやしない!!」

ズバッ

魔法使い「戦士さん!!」

戦士「早く行けええええぇ!!」

魔法使い「…はいっ!!」

ダッ

勇者「ほんじゃま、頼むぜー」ヒラヒラ

694:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/31(土) 23:12:08 ID:U3cb15WM

戦士「…さて」

「ガウッ!!」
「グルルルルル!!」

戦士「…倒し終わるかね、この量?」

僧侶「私たちに選択肢なんてありませんよね?」

戦士「…そうだな。倒すしかないんだな!!」チャキッ

僧侶「…えぇ。早く倒して追いつきましょう」

戦士「…あぁ。そうだな」

「ガウガウッ!!」バッ

戦士「はああああぁぁぁ!!」

ズバッ

僧侶「お見事です」パチパチ

戦士「まだまだああああぁ!!」

戦士(…無事を祈るぞ勇者。魔法使いちゃん)

710:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/17(火) 22:59:40 ID:k9Emh3vA

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勇者「ここだな…」

魔法使い「如何にもって感じの扉ですね…」

勇者「引き返すなら今だぞ?」

魔法使い「な、何言ってるんですか…。今更帰れるわけないじゃないですか」ガクガク

勇者「だから膝」

魔法使い「む、武者震いです!!」

勇者「お前魔法使いだろ」

魔法使い「そういうことじゃないですよ!!」

勇者「今から帰ってジョブチェンジするか?」

魔法使い「しないですよ!!」

勇者「なんでだよ、帰れよ」

魔法使い「どんだけ帰したいんですか!!」

711:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/17(火) 23:04:45 ID:k9Emh3vA

勇者「いや、だって邪魔だし」

魔法使い「何言ってるんですか!! 今まで超役に立ってたじゃないですか!!」

勇者「どの口が言うんだよ」

魔法使い「この口です!!」イー

勇者「何だ、口突き出して。キスしてやろうか?」

魔法使い「な、な、何言ってるんですか/// そ、そういうのは帰ってからに…///」

勇者「バーカ、嘘に決まってんだろ」

魔法使い「だあああああああああああああ!!」

勇者「本当にアホだな、お前は」

魔法使い「なんなんですか、最後の最後まで!!」

勇者「それに全部終わったらもう会うこともねえだろうが」

魔法使い「……本当にもう会えないんですか?」

勇者「当たり前だろうが。会う理由もねえだろうが」

魔法使い「………」

712:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/17(火) 23:10:20 ID:k9Emh3vA

勇者「それにお前らを王の所に連れて行ったら俺の報酬が減るだろうが」

魔法使い「………」

勇者「まっ、そういうこった。だからキスするならこれが最後のチャンスだぜ?」

魔法使い「……じゃぁしましょうか?」

勇者「……あん?」

魔法使い「キス…しましょうよ」

勇者「……冗談に決まってんだろ」

魔法使い「……私は冗談じゃないですよ」

勇者「……」

魔法使い「……勇者様」

勇者「…………」

713:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/17(火) 23:14:46 ID:k9Emh3vA

勇者「……バカたれ」ビシッ

魔法使い「いたっ」

勇者「ドアホ。大人をからかうんじゃねえよ」

魔法使い「……馬鹿」ボソッ

勇者「うるせえよ。それにお前みたいなガキにするわけないだろうが」

魔法使い「…むぅ」

勇者「ほら、さっさと行くぞ」

魔法使い「……まだ、師匠さんのことを忘れられないんですか?」

勇者「……あん?」

魔法使い「…師匠さんの事…まだ好きなんですか?」

勇者「………」

714:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/17(火) 23:20:18 ID:k9Emh3vA

魔法使い「どうなんですか…勇者様」

勇者「……んなわけないだろうが」

魔法使い「……勇者様」

勇者「そもそも師匠は俺を恨んでんだ。そんなことが許されるわけないだろうが」

魔法使い「……そんなことないと思います。師匠さんは勇者様を恨んでいないと思いますよ」

勇者「……お前に何がわかるんだよ」

魔法使い「……いえ、確かになにもわかりません」

勇者「だったら!!」

魔法使い「でも最後に”ありがとう”って言ってたじゃないですか。師匠さんの言葉を信じれないんですか?」

勇者「……それが本音かどうかわかんねえだろうが」

魔法使い「…どうして!? どうして信じられないんですか!?」

勇者「…形がねえからかな」

魔法使い「……」

勇者「どうにもな、ガキの頃の経験のせいかな。食べ物や金っていう形のあるものしか信じれなかったせいかな」

魔法使い「でも師匠さんにそれより大事なことを教わったんじゃないですか!?」

719:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/17(火) 23:38:32 ID:cJmS2qQ6

勇者「……」

魔法使い「どうして素直になれないんですか!? もっと自分に優しくしてもいいじゃないですか!!」

勇者「…俺は幸せになっちゃいけねえんだよ」

魔法使い「どうしてですか!!」

勇者「俺は沢山の人を殺した。沢山の人の幸せを奪った。人を不幸にする死神だからさ」

魔法使い「でもそれは…」

勇者「仕方なくなんかねえんだよ」

魔法使い「で、でもやり直せるはずです!!」

勇者「無理なんだよ。人の犯した罪は消えない。死んだ人は生き返らねえんだよ」

魔法使い「……」

勇者「だから俺は魔王を倒して表面上の罪は消す。そして莫大な富を貰って適当な所で好きなように過ごす。そうすればこれ以上不幸になる人はいねえだろ」

魔法使い「……いいえ、それは違いますよ」

勇者「…何が違うっていうんだよ」

 

715:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/17(火) 23:25:57 ID:k9Emh3vA

魔法使い「…それだと勇者様が不幸で

勇者「…何言ってんだ。金も時間も自由ある。何一つ不自由しねえだろ。これのどこが不幸なんだよ」

魔法使い「…いいえ、それだと足りないものがあります」

勇者「…なんだよ」

魔法使い「それは仲間です」

勇者「……」

魔法使い「だから…」

勇者「…くふっ!」

魔法使い「……え?」

勇者「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

魔法使い「ゆ、勇者様?」

勇者「あぁ、なんて愚かなんだ、お前は!! 俺に仲間が必要? 俺が不幸? 最ッ高のジョークだよ!!」

魔法使い「……」

勇者「んなわけねえだろうが!! 俺は一人でなんでもできる!! 何一つ困ることなんてねえ!!」

 

716:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/17(火) 23:31:57 ID:cJmS2qQ6

ギュッ

勇者「………」

魔法使い「…もういいじゃないですか」

勇者「………」

魔法使い「…もう素直になってもいいじゃないですか」

勇者「………」

魔法使い「…もう無理しなくてもいいじゃないですか」

勇者「……俺は……いいのか?」

魔法使い「……はい」

勇者「……俺は…誰かと一緒にいてもいいのか……」

魔法使い「えぇ。神や死神が許さなくても私が許します」

勇者「……そうか」

魔法使い「えぇ。ですから私には全てさらけ出してください」

勇者「……そうか」ギュッ

 

717:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/17(火) 23:35:58 ID:cJmS2qQ6

魔法使い「だから今は私の胸を貸しますよ」

勇者「……バカ。そんな胸ねえだろうが」

魔法使い「もー!! まだ発展途上なんです!!」

勇者「…ははっ。そうかい。期待してるよ」

魔法使い「そうです!! だから期待して待っててください!!」

勇者「…あぁ、楽しみにしてるよ」

魔法使い「…えっ、それって」

勇者「…うっし。こんなとこでくすぶってても仕方ねえな。最終決戦と行こうか」

魔法使い「ちょ、ちょっと勇者様!! 今のって!!」

勇者「…うっせえよ。続きは終わってからだ」

魔法使い「……期待していいんですよね?」

勇者「…あぁ。期待して待ってろ」

魔法使い「…えぇ、楽しみにしてます」

勇者「…じゃぁ行くぞ、魔法使い」

魔法使い「…はいっ!! 勇者様!!」

 

733:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 20:53:13 ID:Dm91AeIo

ギィ

魔王「…ふははは!! 遂に来たか人間共!!」

魔法使い「っ!?」ゾクッ

勇者「……」

魔王「よくぞここまで辿り着いた!! 褒めてつかわす!!」

魔法使い(な、なんて禍々しい妖気…。これが…魔王っ!?)

勇者「…だったら何か記念品でも贈呈してくれるのか?」

魔王「物よりもよっぽど素晴らしいものだ!! この我と話すことができたのだ!! 一生誇ってよいぞ!!」

勇者「そりゃどうも」

魔王「だが残念だったな…。誇れるのもあと数分だ…」

勇者「あぁ、だろうな。もうすぐお前が死ぬ。そうすれば何の価値もなくなるもんな」

魔王「……ふはははは!!」

勇者「ん? 何がおかしいんだ?」

魔王「…戯言を!! 力の差もわからぬとはな!!」

勇者「おいおい、そりゃこっちのセリフだ」

734:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 20:57:36 ID:Dm91AeIo

魔王「身の程を知れ!! 貴様らなど我からすればスライムと変わらぬ!!」

勇者「まじか。最近のスライムは随分とお強いこった」

魔王「ほう…。我に喧嘩を売っておるのだな?」

勇者「当たり前だろうが。なんの為にはるばるここまで来たんだよ」

魔王「…良かろう!! ならばさっさと地獄へ送ってやる!!」

勇者「…やれやれ、気の短いこった。肉ばっか食わねえで魚食え、魚」

魔王「ここまで来たことを悔やむがいい!!」

勇者「…来るぞ、魔法使い」

魔法使い「っ!! はいっ!!」

魔王「ふははははははははははははは!!」

勇者「…さて。あんたが地獄に行った後、幸せに過ごせるよう願ってやるよ」

勇者「死神のご加護がありますようにってな!!」ダッ

735:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 21:02:07 ID:Dm91AeIo

魔王「来るがいい!! 勇者よ!!」

勇者「…言われなくもそのつもりだよ!!」

ヒュン

魔王「…なに!? どこだ!?」

ヒュン

勇者「どっち向いていやがる!!」

魔王「なっ!?」

魔法使い「う、後ろをとった!!」

勇者「先手必勝…ってな!!」

スンッ!!

魔王「…なんてな」ニヤリ

ヒュン

魔法使い「…えっ?」

勇者「…っ!? あぶねえ!! 避けろ!!」

魔法使い「ひ、ひぃっ!!」スンッ!!

736:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 21:07:58 ID:Dm91AeIo

勇者「大丈夫か、クソガキ!?」

魔法使い「は、はい、なんとか…。で、でもなんで勇者様が急に私の目の前に…」

魔王「くくく…」

勇者「…ちぃ!! やっぱりそうだったか!!」

魔法使い「え、え? 何がですか?」

勇者「…あいつも移動魔法を使えるんだよ」

魔法使い「…えっ!?」

魔王「ふははは!! その通りだ!! まぁ気付かれたところでなんてことはないがな!!」

魔法使い「えっ!? で、でも魔王は勇者様に触れていませんでしたよ!?」

勇者「あぁ。あいつは物に触れなくても発動できるんだろうよ」

魔法使い「そんなのってありですか!?」

勇者「実際そうなんだから仕方ねえだろうが」

魔法使い「そ、そんな…。は、反則すぎます…」

魔王「ふははははは!! だから言ったであろう!! 貴様らなどスライムと変わらんとな!!」

魔法使い「そんな…」

737:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 21:12:37 ID:Dm91AeIo

勇者「…さぁて。こいつは参ったな。ガキの火術も意味ねえんだろうな」

魔王「無論だ。我に貴様らの攻撃が届くことは未来永劫ないのだ!!」

魔法使い「ゆ、勇者様!! どうすれば!?」

勇者「落ち着けクソガキ。慌てたって良い考えなんざ生まれやしねえ」

魔法使い「うっ…」

勇者「考えろ。何か方法があるはずだ」

魔法使い「で、ですが…」

勇者「それとも白旗でもあげるか?」

魔法使い「…そういうわけにもいきませんよね」

勇者「そういうこった。こいつを倒して王から金巻き上げようぜ」

魔法使い「…もう少し勇者らしいことは言えないんですか」

勇者「俺は欲望に忠実だからな」

魔法使い「…多分歴代最低の勇者なんでしょうね」

勇者「あぁ。金輪際、俺を超える勇者は現れねえだろうな」

魔法使い「でしょうね…」

738:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 21:16:44 ID:Dm91AeIo

勇者「…だからさっさと記録に名を残して帰ろうぜ」

魔法使い「…えぇ、そうですね!!」

魔王「ふむ、辞世の句は詠み終わったか?」

勇者「バーカ。そんなもん詠むくらいなら呪文を詠むっつうの」

魔王「やれやれ、まだ実力の差がわからぬのか? 我はずっと貴様らを見ていたのだ。奇襲も通用しない今、貴様らに勝ち目など億分の一も残っておらぬ」

勇者「おいおい、ストーカーかよ。国の兵士に被害届出すぞ?」

魔王「国の犬が何匹かかってこようと我の敵ではないわ」

勇者「おっしゃる通りで」

魔法使い「…でも勇者様。本当にどうするんですか?」

勇者「そうだな。とりあえず何個か思いついたから、試さなくちゃいけないことがあるな」

魔法使い「え!? ほ、本当ですか、勇者様!?」

勇者「あぁ。まぁ見てなって」

魔王「ほう…。面白い…。やってみるがよい!!」

739:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 21:21:30 ID:Dm91AeIo

勇者「まず一つ目っと」サッ

魔法使い「ナイフを取り出してどうするつもりですか?」

勇者「…飛んでけ!!」ヒュン

魔法使い「えぇ!? いつも通りじゃないですか!?」

魔王「…くだらん」ヒュン

グサッ!!

勇者「がっ…!!」

魔法使い「ゆ、勇者様!! と、とりあえず薬草です!!」キュイン

勇者「ハァ…ハァ…。あぁ…死ぬかと思った…」

魔法使い「何やってるんですか!! 通用しないって言ったばっかりじゃないですか!!」

勇者「うるせえな…。試してみただけだよ」

魔王「くだらん…。実にくだらん!! 我を馬鹿にしているのか!!」

勇者「んなわけあるかよ。こっちは死に物狂いで頭働かせてんだよ」

魔王「…だったら興ざめだ。さっさと死ね」

740:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 21:26:33 ID:NzGBp4lM

バッ

魔法使い「これは…爆薬!?」

勇者「ばっ、あぶねえ!!」

ヒュン

勇者「掴まれ、魔法使い!!」

魔法使い「は、はいっ!!」ガシッ

魔王「砕け散れぇ!!」

バンッバンッバンッ!!

魔王「……ほう、これを避けるか」

ヒュン

勇者「当たり前だろうが!! こんなん食らったら死ぬわ!!」

魔法使い「壁もこんだけボロボロですからね…」

741:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 21:33:44 ID:NzGBp4lM

魔王「だが、これで終わらんぞ」

ヒュン

勇者「ガアッ!!」

魔法使い「ゆ、勇者様!!」キュイン

勇者「はぁはぁ…。壁の破片を飛ばしてくるとはな…。良いコンボじゃねえか…」

魔王「貴様に褒められたところで嬉しくはないわ。さっさとくたばれ」

勇者「どアホ。最終決戦がそんな短く終わったら興ざめだろうが」

魔王「最終決戦にしては役不足すぎるな」

勇者「大根役者で許してくれ」スッ

魔法使い「…あっ、煙草。ということは…」

勇者「いんや。普通に点けてくれ」

魔法使い「…え?」

勇者「そろそろ我慢の限界だ」

魔法使い「ちょっと!! そのくらい我慢してくださいよ!!」

勇者「こんなときだからだよ。早くつけてくれ」

742:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 21:38:53 ID:NzGBp4lM

魔法使い「っ!! もうっ!!」ボッ

勇者「…ふぅ。やっぱ生き返るわ」

魔王「…随分と余裕だな。これだけ追い込まれておるのに」

勇者「こんなのピンチのうちに入らねえよ。おい、魔王」

魔王「…なんだ?」

勇者「見ろ」

魔王「…なに?」

勇者「この煙草を良く見てみ」

魔王「それがどうしたと…」

ヒュン

魔王「…ガッ!?」ザクッ

魔法使い「…えっ!?」

勇者「ふ~ん。やっぱりな」

743:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 21:50:38 ID:NzGBp4lM

魔法使い「ど、どうして魔王にナイフが刺さってるんですか!?」

魔王「貴様…。小癪な…」

勇者「おいおい、魔王さんよぉ。何が未来永劫届かないってぇ? えぇ?」

魔王「…つくづく癪に障る男だな」

勇者「俺の上司がむかつくやつだったからなぁ。いいのかぁ、ナイフを引っこ抜かなくてよぉ?」

魔王「ふんっ。この程度の攻撃効かぬわ!! 引き抜くまでもない!!」

勇者「ほう…。そうかいそうかい」

魔王「これで終わりか? ならば…」

勇者「そうはいくかよ!! 魔法使い!! 業火術だ!!」

魔法使い「は、はいっ!! 行きます!!」

魔王「効かぬと言っておるだろうが!!」

魔法使い「っ!! ごうかじゅ」

勇者「ひざかっくん」ガクッ

魔法使い「つ……って、えええええええぇぇぇ!?」ゴウッ!!

魔王「……何?」

744:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 21:56:16 ID:NzGBp4lM

魔法使い「ちょ、ちょっと勇者様!! 何してるんですか!! 狙いずれちゃったじゃないですか!!」

勇者「うるせえな。いいんだよ、これで」

魔法使い「何がですか!! 全然違う天井の方に…って、まさか!?」

勇者「御名答」ニヤリ

バンッ!!

ガラッ

魔法使い「天井の瓦礫が!!」

勇者「そのまま砕け散れぇ!!」

魔王「チィッ!!」

ヒュン

魔法使い「あぁ!! 結局避けられちゃいました!!」

魔王「無駄だと言っておろうが!!」

勇者「…ここだ」

ヒュン

745:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 22:01:50 ID:NzGBp4lM

グサッグサッ!!

魔王「…グッ!!」

魔法使い「魔王が串刺しにっ!!」

勇者「どうだ? ありったけのナイフをねじ込んでやったぜ?」

魔法使い「さ、流石勇者様です!! で、でもどうやって…」

魔王「…ふんっ。甘い。甘すぎるぞ!!」

勇者「…何?」

魔王「我は魔王であるぞ!! この程度の攻撃など微塵も効かんわ!!」

魔法使い「そ、そんな…。あれだけの本数が刺さってるのに…」

勇者「おいおい、まじかよ…。なんちゅう体力してんだよ。少しはへばれよ」

魔法使い「ゆ、勇者様!! ですがチャンスです!! このまま一気に攻め込みましょう!!

勇者「…残念なお知らせだ。もうナイフがねえ」

魔法使い「そ、そんなっ!!」

魔王「ふはははは!! もう万策尽きたか!! 我は少しも傷ついてはおらぬぞ!!」

746:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 22:09:06 ID:NzGBp4lM

魔法使い「で、でもこれくらいのピンチ何度もあったはずです!! 勇者様なら他の手があるはずです!! ね、ねぇ、勇者様?」

勇者「………」

魔法使い「ゆ、勇者様…?」

勇者「…悪いな、魔法使い」

魔法使い「そ、そんな……嘘ですよね? また相手を油断させるための嘘ですよね…?」

勇者「せめて魔王が自分に刺さったナイフを使って攻撃してくれりゃな…」

魔王「…誰がそんなことをするか!! 貴様に渡すくらいならずっと体に残したままにするわ!!」

勇者「……くっ!!」

魔法使い「……でも…でも…あ、ほら、まだ瓦礫とか!!」

勇者「無駄だ。俺が触れる個数なんて限界がある」

魔法使い「そ、そんなのやってみなくちゃ!!」

勇者「魔法使い…。もう無駄なんだよ…」

魔法使い「………そんな……そんなのって……」

魔王「ふははははは!! チェックメイトのようだな!!」

747:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 22:14:27 ID:NzGBp4lM

勇者「……仕方ねえか」

魔法使い「……え?」

勇者「……おい、魔法使い」

魔法使い「は、はいっ!! 何ですか!? 良い策でも思いついたんですか!?」

勇者「…あぁ、とっておきのな」

魔法使い「本当ですか!?」

勇者「…あぁ。必殺技を思いついたぜ」

魔王「……何?」

魔法使い「や、やったじゃないですか!! これで勝てますね!!」

勇者「……あぁ」

魔法使い「……勇者様?」

勇者「おい、魔法使い」ワシャワシャ

魔法使い「ど、どうしたんですか、勇者様? 急に頭を撫でたりして? く、くすぐったいですよ///」

748:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 22:22:28 ID:NzGBp4lM

勇者「…お前は俺を信じられるか?」

魔法使い「当たり前ですよ。今更何言ってるんですか?」

勇者「…お前は今まで楽しかったか?」

魔法使い「まぁ辛いこともたくさんありましたが…そうですね、楽しかったです!」

勇者「…お前はこれからも楽しく生きていけるか?」

魔法使い「当たり前ですよ! 戦士さんに、僧侶さん。他にもマスターに村人さんとも楽しくやっていきたいです! もちろん、勇者様ともです!」

勇者「……そうか。良い仲間が沢山できたな」

魔法使い「はいっ!!」ニコッ

勇者「それじゃぁ…」

勇者「俺が居なくても大丈夫だな?」

魔法使い「……え?」

749:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 22:29:08 ID:NzGBp4lM

勇者「…ま、そんだけ仲間が居りゃ大丈夫だろ」

魔法使い「この手って……まさか!? 離してください!! 勇者様!!」

勇者「達者で暮らせよ」

魔法使い「やめてください!! 勇者様!! 離して!!」ブンブンッ

勇者「俺はお前のこと……いや、いいか」

魔法使い「勇者様!!」ブンブンッ

750:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/07(月) 22:31:09 ID:NzGBp4lM

勇者「あばよ。魔法使い」

魔法使い「勇者様ああああああああぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁ!!」

ヒュン

759:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 22:02:46 ID:bUW8bUCw

_____
___
_

戦士「はあああああああああああ!!」

ズバッ

戦士「はぁはぁ…」

「グルルルル!!」

戦士「ちっ!! まだ居るのか!!」

僧侶「…うぅ、このままじゃ全然進めないですよ」

戦士「くそっ!! 早く行かないと間に合わないぞ!!」

僧侶「こ、このままでは…」

ヒュン

魔法使い「うっ…」ドサッ

僧侶「…って、魔法使いちゃん!?」

戦士「何!? もう魔王を倒し終えたのか!?」

760:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 22:08:59 ID:bUW8bUCw

魔法使い「っ!! 戦士さん、僧侶さん、急いでください!!」

僧侶「え…?」

戦士「何故だ? 魔王を倒し終えたから戻ってきたんじゃないのか?」

魔法使い「違うんです!! このままでは勇者様が危険です!!」

戦士「落ち着け、魔法使いちゃん!! 何があったんだ!!」

魔法使い「今、勇者様は一人で魔王と戦っているんです!!」

僧侶「えっ!? 一体何故!?」

魔法使い「勇者様は一人で死ぬ気です!!」

戦士「何っ!? それは本当か、魔法使いちゃん!!」

魔法使い「はい!! そのようなことを言ってました!!」

戦士「くっ!! 急ぐぞ、僧侶ちゃん!! 魔法使いちゃん!!」

僧侶「は、はいっ!!」

魔法使い「はいっ!!」

魔法使い(無事でいてください、勇者様!!)

761:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 22:15:38 ID:bUW8bUCw

_____
___
_

勇者「………」

魔王「ほう…。勝ち目がないと踏んで小娘一人逃がしたか」

勇者「…あぁ、そうだよ。俺はこのまま戦い続けるほど馬鹿じゃないんでな」

魔王「賢明な判断だな。だがいいのか? 貴様は逃げなくて」

勇者「自分を飛ばせるほど魔力も残ってないからな」

魔王「ふんっ、馬鹿な男だ。自分の身より大事なものなど存在するわけがなかろう」

勇者「…俺もそう思ってたんだけどな。どこで間違えたんだろうな」

魔王「ふんっ、愚かだな。あんな小娘一人の為に自らの命を犠牲にするとはな!!」

勇者「全くだ」

魔王「だがその勇気に称えて楽に殺してやる。光栄に思え!!」

勇者「あぁ、その前に一つ答え合わせをしようぜ。どうせ死ぬんだ。もう少しくらいお喋りしようぜ」

魔王「…ふむ、よかろう。何についてだ?」

勇者「お前の能力についてだよ」

762:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 22:23:37 ID:bUW8bUCw

魔王「…面白い。付き合ってやろう」

勇者「心の広い魔王で助かったよ。じゃあまずお前が魔法を使える範囲についてだ」

魔王「ほう…。言ってみるがいい」

勇者「何、簡単な話だ。俺の発動条件は『手に触れている物』だ。だが、お前の発動条件は俺と反対の『手に触れていない物』ってだけだ」

魔王「なるほど。何故そう思ったのだ」

勇者「簡単な話だ。さっき攻撃をするとき爆薬をわざわざ投げてから呪文を使ったんだ。そんな面倒な真似普通ならしねえだろ」

勇者「他にもある。お前の体に刺さっている無数のナイフがそれを証明してんだよ」

魔王「それは先にも説明したであろうが。貴様の手に渡らぬようにあえてそのままにしておるのだよ」

勇者「だったらどっか別の場所にでも飛ばせばいいじゃねえか。わざわざ俺に向けて使う必要もねえだろ? それに刺しっぱにする必要もな」

魔王「…ふははははは!! その通りだ、勇者よ!! 気付いたのは貴様が初めてだ、褒めてつかわす!!」

勇者「そりゃどうも。お前も初体験できてよかったな」

魔王「だがそれだけ気付いたところで…」

勇者「ったく、せっかちな奴だな。他にもちゃんとあるっての」

魔王「…何?」

勇者「お前、自分の見える範囲でしか物を移動できないんだろ?」

763:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 22:32:36 ID:gZo5OiJ6

魔王「…何故そう思っ

勇者「俺が普通に攻撃した時、お前は俺に反撃ができた。だが、煙草に視線を移させた時。それと天井に視線を移した時。お前は俺から攻撃を喰らったんだ」

魔王「…なるほど。だがそれはないな」

勇者「…何でだ?」

魔王「その意見には大きな矛盾があるからだ」

勇者「…いいぜ、言ってみろよ」

魔王「我は貴様らのもとへ魔物を送り込んだ。だがそれは目で見える範囲ではない。目で見える範囲だけというのならそのようなことをできるわけがなかろう」

勇者「…なるほどな」

魔王「残念だったな、勇者よ。面白い意見だったがそれまでだ」

勇者「…はぁ。あのなぁ、俺が気付いてないとでも思ってんのかよ?」

魔王「…ほう、何をだ?」

勇者「自分の目で見えないなら見えるようにすりゃいいんだろうが」

魔王「…なるほど。しかし、どうやってだ?」

勇者「ずっと俺らのことを見ていた水晶に決まってんだろうが。言わせんな恥ずかしい」

魔王「…ふははははは!! その通りだ、勇者!! 流石にここまで辿り着いただけのことはある!!」

764:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 22:38:00 ID:EXDLRqU2

魔王「だが、しかし!! 今更気付いたところでどうした!! 今の貴様に何ができる!!」

勇者「……あぁ、全くだ」

魔王「…しかし、貴様をみすみす殺すのは勿体ない。どうだ!! 我と共に世界を我がものをしないか!!」

勇者「ほぉ…。魅力的な提案だな」

魔王「そうだろう!! だったら!!」

勇者「…だが悪いな」

魔王「何…?」

勇者「俺は『死神』だ。腐っても『神』なんだよ。たかだか『魔王』の下につくなんてまっぴらごめんだね」

魔王「…バカな男よ!! 自分の置かれている状況が理解できていないとはな!!」

勇者「…あぁ、自分でもそう思うよ。何言ってるんだろうな、俺は」

魔王「前言撤回だ。貴様のような馬鹿などいらん!!」

勇者「賢明な判断だな」

765:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 22:46:09 ID:bUW8bUCw

魔王「交渉決裂のようだな」

勇者「どうやらそのようだな」

魔王「もうよい。ではさっさと死ぬがいい!!」

勇者「どうやらお別れの時間の様だな」

魔王「あぁ。地獄で会える日を楽しみにしておるぞ」

勇者「…やれやれ、こんなときは雰囲気的に雨が降るべきなのに随分と快晴だこった」

魔王「残念だったな!! 悲劇のヒーローになれなくてな!!」

勇者「本当にな。…あぁ、綺麗な太陽だこった」

魔王「最後に見る景色がこのように綺麗なもので良かったな」チラッ

勇者「…あぁ」

勇者「本当にな!!」ヒュン

766:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 22:54:37 ID:RvV7lkIc

魔王「何っ!? まだ魔力が残っていたというのか!?」

ヒュン

勇者「簡単に人を信じてるんじゃねえよ、馬鹿が!!」

魔王「チィッ!! 小癪な!!」バッ

ヒュン

勇者「…振り返っても無駄だ。そっちじゃねえよ」

魔王「くっ!! しかし無駄だ!! 貴様にもう武器はない!!」バッ

勇者「…あぁ。そうだな」

ヒュン

魔王「それにもう我の傷は癒えておる!! 我にダメージを与えても無駄だ!!」バッ

ヒュン

勇者「…あぁ。その通りだ」

魔王「だったら何をしようと無駄であろう!!」バッ

ヒュン

勇者「…いや。それは違うな」

767:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 23:00:35 ID:4KrVIwiw

ガシャン

魔王「…なんの音だ」

勇者「自分の手を良く見てみろよ」

魔王「…これは」

勇者「さぁ、ここで登場。勇者7つ道具、最後の1つ」

勇者「手錠だ」

768:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 23:07:42 ID:4KrVIwiw

魔王「…それがどうしたというのだ。両手を使えなくなったところで我は痛くも痒くもないぞ」

勇者「まぁ、見てろって。お前の手錠の鎖部分にもう一つ手錠をつける」

ガシャン

勇者「んでもってもう片方の輪の部分にもう一つ手錠の鎖をつける」

ガシャン

勇者「ほんで最後にその手錠を俺につける」

ガシャン

勇者「はーい、これで完成でーす」

魔王「…貴様は一体何がしたいのだ」

勇者「やれやれ、馬鹿はどっちだよ」

魔王「何?」

勇者「俺とお前の呪文の発動条件を思い出してみろ」

魔王「…まさか」

769:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 23:14:29 ID:OhL2tpoU

勇者「そう。お前は『手に触れてない物』しか移動できない。逆に俺は『手に触れている物』しか移動できない。そして俺は今、お前の目に映らない背後に居る」

魔王「…くっ!!」

勇者「これでお前は俺に、もう何もできやしねえんだよ」

魔王「だがそれがどうした!! いくら我の体に刺さっているナイフを何度突き刺そうと我は死にやしないぞ!!」

勇者「…あぁ、そうだろうな」

魔王「それに貴様の仲間が来るのを待ったって無駄だ。その時点で貴様の仲間は我の目で捉える事が出来る」

勇者「じゃぁ今お前の目にナイフを突き刺してやろうか?」

魔王「それも無駄だ。我の治癒能力をもってすればすぐに癒えることだろう」

勇者「…ですよねー」

魔王「だったら結局無駄なことよ!!」

勇者「…なぁ」

魔王「…なんだ?」

勇者「太陽って知ってるか?」

770:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 23:21:55 ID:Ab6ZLsWQ

魔王「…何を藪から棒に」

勇者「良いから答えろよ」

魔王「当たり前だ。今丁度見えているだろうが」

勇者「なんで太陽が出ている時ってあんなに暑いんだろうな」

魔王「そんなもの太陽が熱を持っておるからであろう。詳しくは知らんがな」

勇者「ってことはよ。ここまで熱が届くってことは本体は相当熱いんだろうな」

魔王「それがどうした…ってまさか!!」

勇者「あぁ、そのまさかだよ」

魔王「馬鹿か貴様!! それでは貴様も死ぬぞ!!」

勇者「…あぁ。だろうな」

魔王「ふざけるな!! 考え直せ!!」

勇者「…まぁいいじゃねえか」

勇者「一緒に宇宙旅行にでも行こうぜ」

魔王「やめろおおおおおおお!!」

ヒュン

771:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 23:28:26 ID:6pk0DEFQ

パリーン

魔法使い「あっ!!」

戦士「どうした!! 魔法使いちゃん!!」

魔法使い「す、すいません!! 魔法瓶を落としちゃいまして…」

僧侶「なんだ、そんなことですか。それなら良かったです」

魔法使い「すみません!! 驚かせてしまって…」

戦士「何、気にするな。それより魔物もあと少しだ」

「グルルルルル…」

僧侶「…そうですね。早く倒して勇者様のもとへ向かいましょう」

魔法使い「…はい」

魔法使い(勇者様…。どうかご無事で…)

772:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 23:34:43 ID:6pk0DEFQ

ヒュン

勇者(…っ。息ができねえ)

ヒュン

勇者(くそっ、まるで海に潜ってる居る様だ…)

ヒュン

勇者(…考えるな。他のことを考えろ)

ヒュン

勇者(…あぁ、月ってこんな形をしてたんだな)

ヒュン

勇者(…地球ってあんな色だったのか)

ヒュン

勇者(…遠すぎる。全然近づけねえ)

ヒュン

魔王「やめろ!! 考え直せ!!」

773:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 23:42:51 ID:6pk0DEFQ

ヒュン

勇者(ちっ…。なんであいつは普通に喋れるんだよ…)

ヒュン

勇者(くそ…意識が遠くなってきた…)

ヒュン

勇者(もう魔力も残りすくねえ…太陽まで着くのか…?)

ヒュン

勇者(…でももう少しだ)

ヒュン

勇者(…大分熱くなってきた)

ヒュン

勇者(…もうすぐ…もうすぐだ…)

ヒュン

勇者(…あと少しだ)

774:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 23:45:31 ID:6pk0DEFQ

ヒュン

魔王「ちぃっ!! こうなったら太陽ごと移動させてやる!!」

勇者(っ!! ちぃっ!!)

ヒュン

グサッ

魔王「ぐあああああああああ!! 見えぬ!! 何も見えぬ!!」

ヒュン

勇者(…あぁ……もう…力が…出ねえ…)

魔王「熱い!! 熱い!!」

勇者(…だが…放っておいても…勝手に…近づいていくし…いいか)

魔王「暗い!! 熱い!!」

勇者(……あばよ…僧侶…戦士………魔法使い)

魔王「やめろ!! やめろおおおおおおぉおおおぉおおおおぉおぉぉぉぉ!!」

勇者(……今そっちにいくぜ……親父……お袋)

775:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 23:46:16 ID:6pk0DEFQ

勇者「死神のご加護がありますように」

780:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 00:52:59 ID:5Oi7n6z6

______
___
_

戦士「はああああああああ!!」

ズバッ

魔法使い「や、やっと倒し終わりました!!」

僧侶「戦士さん、回復術です!!」

キュイン

戦士「あぁ、ありがとう、僧侶ちゃん」

魔法使い「戦士さん、僧侶さん!! 行きましょう!!」

戦士「そうだな!! 先を急ごう!!」ダッ

僧侶「はいっ!!」ダッ

魔法使い「っ!!」ダッ

781:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 00:57:41 ID:5Oi7n6z6

_____
___
_

魔法使い「戦士さん、僧侶さん!! ここです!!」

僧侶「……あれ?」

戦士「どうしたんだ? 僧侶ちゃん?」

僧侶「……魔力を感じません」

魔法使い「えっ!? ということは魔王はっ!!」

僧侶「もしかしたら、勇者様が…!!」

戦士「本当か!? よしっ、行くぞ!!」

魔法使い「はいっ!!」

782:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 01:02:48 ID:O4WOqUCY

ギィ

魔法使い「勇者さ……ま?」

戦士「……誰もいないだと?」

僧侶「…え?」

魔法使い「ゆ、勇者様ー!! 隠れてないで出てきてくださいよー!!」

戦士「…二人ともどこに行ったというのだ?」

僧侶「わかりません…。ですがこの近辺に居ないのは確かです」

魔法使い「勇者様ー!! 勇者様ー!!」

戦士「…まさか勇者と魔王が同時に」

僧侶「……その可能性は高いと思います」

魔法使い「勇者様ー!! どこですかー!!」

戦士「……魔法使いちゃん」

魔法使い「勇者さ…ってあれ、これは…」ヒョイ

戦士「それは……」

僧侶「……勇者様の紋章」

783:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 01:09:01 ID:.cbDvJ9M

魔法使い「………」

戦士「……こんなにボロボロになるまで戦っていたのだな、彼は」

僧侶「……うっ」

魔法使い「な、何泣いてるんですか、僧侶さん!! 勇者様が勝ったんですよね? ね?」

戦士「……魔法使いちゃん。だが彼は…」

魔法使い「あ、あれですよ!! きっと先に帰っちゃったんですよね? 全く、薄情な人ですね!!」

僧侶「……魔法使いちゃん」

魔法使い「私との約束も放ったらかして先に帰るなんて…許せません!!」

戦士「魔法使い!!」

魔法使い「……っ」

戦士「…彼は、きっと」

魔法使い「そんなはずないです!! 勇者様は…勇者様は…!!」

戦士「……魔法使いちゃん。帰ろう?」

魔法使い「うぅ…勇者様……勇者様ああああああああぁぁぁあぁああぁぁああ!!」

784:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 01:15:46 ID:IcxjYpOM

魔法使い(…私たちは魔王城をあとにしました)

魔法使い(4人で来た道のりを3人で帰りました)

魔法使い(とてもとても長い道のりでした)

魔法使い(途中、戦士さんが)

戦士「勇者が居ればな…」

魔法使い(と、呟いたのを私は聞いてしまいました)

785:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 01:20:33 ID:IcxjYpOM

魔法使い(…私たちはそれでも歩き続けました)

魔法使い(砂漠の街に着いた時、僧侶さんのお姉さんが)

僧侶姉「…ありがとうございます、皆さん」

魔法使い(と、笑顔で言ってくれました)

魔法使い(一か所だけ地面が黒くなりました)

魔法使い(僧侶さんはこのまま王様の所まで着いてきてくれるそうです)

僧侶「私たちは王様に伝える事くらいしかできませんから…」

魔法使い(そう寂しそうに言いました)

786:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 01:24:21 ID:IcxjYpOM

魔法使い(…それからも私たちは歩きました)

魔法使い(後ろを振り返ったりしながらゆっくりと歩きました)

魔法使い(村に着いた時、村人さんが)

村人「…私は彼に感謝を伝える事すらできないのか」

魔法使い(そう呟きました)

魔法使い(村娘さんは)

村娘「…彼は素晴らしい勇者様でしたね」

魔法使い(それだけ言うと走り去ってしまいました)

魔法使い(村の至る所から)

「ありがとうございました、勇者様!!」

魔法使い(そう聞こえました)

魔法使い(村には沢山の家が並んでいました)

787:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 01:30:47 ID:3NhD.e/.

魔法使い(…私たちは歩き続けました)

魔法使い(魔王城をあとにしてから大分時間が経ちましたが歩き続けました)

魔法使い(そして私の居た街に着きました)

魔法使い(私たちはマスターの居る居酒屋へ向かいました)

魔法使い(マスターは温かく迎えてくれました)

マスター「…あいつはどうしたんだ?」

魔法使い(戦士さんや僧侶さんが事情を説明すると)

マスター「………そうか」

魔法使い(そう一言だけ呟きました)

魔法使い(そして棚に置いてあった大量のビールを飲み始めました)

魔法使い(その後皆にもお酒を出してくれました)

マスター「…あの馬鹿が」

魔法使い(そう小さく呟きました)

788:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 01:36:17 ID:3NhD.e/.

魔法使い(…次の日、私は自分の家へ向かいました)

魔法使い(旅へ出た時と少しも変わっていませんでした)

魔法使い(ほんの少しだけ、埃をかぶっていたくらいでした)

魔法使い(私はお花屋さんへ行き何本かお花を買いました)

魔法使い(それを花瓶へ差し込み水を入れました)

魔法使い「…ただいま、お父さん、お母さん」

魔法使い(それだけ言うと皆のもとへ戻りました)

魔法使い(そしてまた歩き始めました)

789:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 01:42:36 ID:Gh7RkQiI

魔法使い(…私たちは歩き終えました)

魔法使い(とうとう目的の街に着きました)

魔法使い(何度も振り返りながらゆっくり歩いたのに後ろからは誰も来ませんでした)

魔法使い(私たちはお城へ向かいました)

魔法使い(とても立派なお城でした)

魔法使い(私たちは門番の人に事情を説明し、中に入れて貰いました)

魔法使い(私は一縷の望みにかける事にしました…)

790:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 01:50:19 ID:Gh7RkQiI

魔法使い(……ですがそこに勇者様の姿はありませんでした)

魔法使い(戦士さんと僧侶さんが王様にこれまでのことを報告しました)

魔法使い(私の街で起こった事、八岐大蛇の出た村の事、砂漠の街で起こったこと)

魔法使い(……そして魔王城での事)

魔法使い(王様は話を聞き終えた後)

王「そうか。よくぞ無事帰還した」

魔法使い(淡々とそう言いました)

魔法使い(そして、)

王「何。奴のことだ。そのうちひょっこり顔を出すであろう。…儂はいつまでも待っておるよ」

魔法使い(そう自信満々に言い切りました)

魔法使い(…うじうじ考えていた私が馬鹿みたいに思えました)

王「お主らもそう信じているじゃろう?」

魔法使い(さも当然かのようにいうその言葉に私たちは…)

「「「…はいっ!!」」」

魔法使い(自信満々でそう答えました)

791:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 01:56:30 ID:.cbDvJ9M

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魔法使い(あれから数カ月が経ちました)

魔法使い(ですが勇者様はまだ帰ってきていません)

魔法使い(あの後、王様は私たちに、)

王「何でも望むものを与えよう。なんでも言うがいい」

魔法使い(そう言いました)

魔法使い(僧侶さんは、)

僧侶「孤児だった私は運よく姉に助けられました。ですがそうもいかない子達も居ると思います。そんな子の為に大きな孤児院を作ってください」

魔法使い(と言いました)

魔法使い(その言葉通り現在はとても立派な孤児院を製作中とのことです)

魔法使い(僧侶さんはそこで孤児の面倒を見ながら教会のお仕事もするそうです)

僧侶「これから毎日忙しくなりますね!!」

魔法使い(とても楽しそうにそう言ってました)

792:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 02:05:35 ID:.cbDvJ9M

魔法使い(戦士さんは、)

戦士「勇者が平和にしてくれたこの世界を維持するためにも是非この国の軍に入隊させて欲しい」

魔法使い(そう言いました)

魔法使い(入隊してすぐに元帥の称号を与えられたそうです)

魔法使い(戦士さんは、『そんな恐れ多い!!』と最初は拒否していたらしいですが立派に仕事をこなしているそうです)

魔法使い(それと勇者様が言っていた『特殊部隊』を解隊するよう命じたらしいです)

魔法使い(大臣は猛反発したそうですが、魔王の居ない今、必要ないと判断され無事解隊されたそうです)

魔法使い(…ざまあみろです)

魔法使い(それでも必死に兵を集めようとする大臣を見張りつつ街の警備も頑張っているそうです)

戦士「勇者が帰ってきた時がっかりさせないよう、しっかり国の平和を守るよ」

魔法使い(頬笑みながらそう言っていました)

793:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 02:13:39 ID:.cbDvJ9M

魔法使い(私はと言うと、)

魔法使い「一人で旅に出て困っている人を救いながら魔法のお勉強をしたいです」

魔法使い(そう言いました)

魔法使い(そして現在絶賛旅の途中です)

魔法使い(戦士さんや僧侶さんには危ないからやめろと言われましたが)

王「よかろう。ではお主にこれを与えよう」

魔法使い(そう言い、500Gと銅の剣をくれました)

魔法使い「…私魔法使いなのですが」

王「キングジョークじゃ」

魔法使い(その後倍以上のお金と、)

王「お主が持っている方が、奴も喜ぶであろう」

魔法使い(そういい勇者の紋章を私にくれました)

魔法使い(そして私は旅に出ました)

794:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 02:24:26 ID:.cbDvJ9M

魔法使い(私はその後色んな街を回り、困っている人を助けました)

魔法使い(どんなことをしたかは割愛しますが私もやればできるんです!!)

魔法使い(もう守られるだけの役立たずなんかじゃないです!!)

魔法使い(…ですから安心してください、勇者様)

魔法使い(いつ戻ってきても大丈夫ですよ)

魔法使い(あっ、ただ約束を破ったことについては怒ります!! 許しません!!)

魔法使い(でも戻ってこない方がもっと怒ります!!)

魔法使い(ですから早く戻ってきてくださいね、勇者様)

魔法使い(…私はいつまでも待っていますから)

魔法使い(…勇者様が無事であることを願っていますよ)

魔法使い「死神のご加護がありますように」

802:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 19:26:53 ID:keO7A9g6

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803:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 19:32:31 ID:12tXX4CQ

チャポン

「……はぁ、釣れねえな」

ゴロン

「…どうしたもんかねぇ。このままじゃ3日連続野菜生活だ。ベジタリアンかっつうの」

ザッ

「…やっと見つけました」

「………」

「……ここに居たんですね」

魔法使い「勇者様」

804:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 19:38:16 ID:12tXX4CQ

「……あん? 誰だ? 俺はあんたみたいな若いねえちゃん知らねえぞ?」

魔法使い「そりゃそうですよ。もうあれから5年も経っているんです。少しは成長しますよ」

「はて、なんのことだ? というか人違いじゃねえか?」

魔法使い「そんなはずはありません。私が見間違えるはずなんてありませんから」

「おいおい、こんな全身火傷まみれの奴とお前の探している奴を間違えるなんて、そいつに可哀想だぜ?」

魔法使い「気付いてもらえない私の方が可哀想ですよ」

「…やれやれ、話の聞かないお嬢さんだこった」

魔法使い「……どうしてずっと顔を見せてくれなかったんですか?」

「……こんな火傷まみれの奴の顔を誰が見たいって言うんだよ」

魔法使い「…私はずっと見たかったです」

「…そりゃ変った趣味をお持ちで」

魔法使い「……私…ずっと待ってたんですよ…」

「………悪かったな」

魔法使い「……本当に…本当に…馬鹿っ!!」ダッ

805:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 19:43:59 ID:h/X4vRHM

ギュッ

「……なんだ、殴らねえのか?」

魔法使い「…本当なら会って最初はビンタの1つでもしてやろうと思ってたんですけど…なんかもうどうでもよくなりました」

「……悪かったな、心配掛けて」

ギュッ

魔法使い「……勇者様。私、もう結婚出来る歳になりましたよ」

「………そうか」

魔法使い「……この続きまで言わせる気ですか?」ジトー

「……いいのか? こんな火傷まみれの30過ぎのおっさんとでよ」

魔法使い「…えぇ。他に貰い手も居なさそうなので優しい私が貰ってあげますよ」

「……バーカ。俺が妥協してやってんだよ」

魔法使い「…それに私が居ればライターいらずですよ?」

「……もう炎は懲り懲りだよ」

チュッ

806:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 19:50:34 ID:h/X4vRHM

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魔法使い「……というように、私も色んな人を救ってきたんです!! もう役立たずなんかじゃないですよ!!」

「……そうかい。逆に俺が役立たずになっちまったようだな」

魔法使い「いいんですよ、心配しなくて。今までの分、私がしっかり守ってあげますよ!!」

「…そりゃ頼もしいこった」クスッ

魔法使い「もー!! 馬鹿にして!! …というか勇者様。魔王城で一体何があったんですか?」

「あぁ。ちょっと太陽までデートしてきた」

魔法使い「えぇっ!?」

「おう、聞けよ。なんと地球は青かったんだぜ」

魔法使い「そんなことはどうでもいいです!! だからそんなことに…」

「名誉ある負傷ってな」

魔法使い「…というか良くそれで無事でしたね。何で助かったんですか…」

「…まぁ、そうだな」

「死神のご加護でもあったんじゃねえの?」

807:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 19:55:49 ID:h/X4vRHM

これにてくぅ疲です!!

設定の甘いところや、ミス、誤字脱字、長期間開いたりと至らないところも多々ありましたが、2か月以上もの間お付き合いありがとうございました!

808:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 20:00:36 ID:xiU.scPA

乙!

809:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 20:04:29 ID:rWmAdPhk

死神様の加護があったなら仕方ない

811:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 20:17:20 ID:py8QpKg.

携帯に移動しました!
皆さん本当にありがとうございます!

何か質問やわからないことがありましたらどうぞ!

813:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 22:37:58 ID:jnI.Pdpo

どうやって帰ってきたのか気になるが……、
炎はこりごりって笑った。

乙っ!

814:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 23:24:14 ID:J.I5ZH1Y

俺も↑だな

とにかく乙でした(`・ω・)b
面白かったよ

815:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 23:37:45 ID:keO7A9g6

>>814

一応私の中では

勇者(もう魔力も残りすくねえ…太陽まで着くのか…?)

とは言っていますが、切れたとは言っていない。
太陽まで行く時は何度も移動魔法を使いましたが、
帰るときは、記憶を使い移動する場所を設定したため
少ない魔力でも一発で目的の場所まで辿り着けた。

…という構想で書いてました。
ちなみに設定場所は、師匠の別荘のつもりだったのですが…書き忘れてました。
申し訳ないです…

816:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 23:40:05 ID:keO7A9g6

あと本当にどうでもいいことですが、
一応勇者の父の手紙は縦読みできるようにしてました。

それじゃぁ質問もないようなのでこれで終わります!

本当に皆さんありがとうございました!

656:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/20(火) 01:11:50 ID:30rxbbXw

ままでありがとう。そしてごめんなさい。

い日が本当に楽しかった。嘘偽りなく最高の生活だった。

りゃ大変なことだってたくさんあったし、苦労することもたくさんあった。

らいことだってたくさんあったし、喧嘩することだってあった。だけどなんていうのかな。

っともあの生活が嫌だなんて思ったことはなかった。男の成長を見るだけでとても嬉しかった。

が手な料理や洗濯だって君は頑張ってやろうとしてくれた。僕は嬉しかったよ。

いお父さんとは間違いなく言えなかった。ずっと君に頼りきりだった。

らいだって君の方が上だった。それでもこんな僕と結婚してくれてありがとう。

わい僕は生きるのを諦めてしまった。だけど男はこれからも強く生きて欲しい。世界一の男になるまで。

中佐

818:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/15(火) 00:39:05 ID:L99bHPmw

縦読み自然すぎて気づかなかったわ

次回作の予定はありまつか

819:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/15(火) 01:15:36 ID:xxoJMfWg

>>818
一応考えているものはありますが書くかは未定ですw
書くとしてもかなり時間あくかと…。
それと勇者物ではないと思いますw

820:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/15(火) 01:32:59 ID:tgRg0kDE


面白かった
次も期待してる