色々すっきりしたから少し、昔話をさせておくれ

1: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】 2012/10/31(水) 21:30:01.30 ID:q/u1PmQN0
あるところに多感な時期を迎えた女の子がいました。
その女の子は少し変わった子でした。
その子は自分で自分がおかしいな、と思っていましたが、どうしたらいいのか分からないまま生活を送っていました。
学校が終わって家に帰ると、いつも考えてしまいます。
このおかしなことはお友達に相談することはできないましてや家族にも言えない、と思い、気持ちが重たくなります。

 

3: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 21:32:03.67 ID:q/u1PmQN0
ある夏の日、女の子がお友達に告白されました。
生まれて初めて人に好きだと言われ、嬉しい反面、女の子は戸惑いました。
相手も同じ女の子だったからです。
それ以上に、自分の気持ちが幸福感で満たされていることの方が戸惑いを大きくしました。
女の子は考えました。
「わたしは同じ性別の人と恋愛関係になりたかったのかな」
考えると、やっぱり重たい気持ちになります。
これはおかしなことなのです。おかしい以外のなにものでもないのです。

 

6: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 21:33:29.90 ID:q/u1PmQN0

しかし女の子はまだ幼い。子供です。
欲望にとても素直な年頃です。
女の子はお友達に「付き合いましょう」と返事をしました。
お友達は彼女になりました。

それからの女の子の毎日はとても幸せなものになりました。
彼女と放課後に二人で遊んだり、学校の図書室で仲良く本を読んだりしていました。
女の子は、彼女との間柄を周りのお友達には隠していました。
だってこれはおかしなことなのです。

 

8: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 21:36:17.32 ID:q/u1PmQN0

女の子は男の子と付き合うのには抵抗がありました。なので彼女が彼氏を作ることにしました。
偽物の彼氏です。
彼女は、親同士も仲が良くなんでも話せる男の子のお友達に頼み、彼氏のフリをしてもらいました。

そうこうしているうちに、いつの間にか噂は消えました。
女の子と彼女は、男の子にお礼をして、また仲良く遊ぶようになりました。

 

9: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 21:40:57.14 ID:q/u1PmQN0
秋が近くなりました。
学校の帰りはもう、上着がないと寒いくらいです。
その日、女の子と彼女は手をつないで帰りました。お互いの手は冷えてしまっていたけれど、女の子はとても暖かい気持ちでした。
女の子の家に行きました。
また噂が流れたりしないように、二人はこっそり遊びます。
彼女がそろそろ帰らなくてはいけない時間になったとき、こう言いました。
「キスがしたい」
女の子はドキドキしました。とても素敵な提案だと思いました。

 

10: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 21:42:36.19 ID:q/u1PmQN0
女の子はそっと、彼女と大切な初めてのキスをしました。
二人とも、にこにこしていました。
女の子は彼女をお家に送りました。
「大事な彼女を暗がりで一人歩きなんかさせられない」
彼女はにっこりしました。
「でも君も女の子だよ」
そう言って、二人で笑いあいました。

 

11: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 21:44:06.42 ID:q/u1PmQN0
その日は二人で勉強をしていました。
女の子は得意な国語を、彼女は得意な理科を、お互い教えあっています。
女の子は彼女より少しだけ勉強が苦手です。
「君は進学先決めたの?」
彼女は女の子に聞きます。
「そうだね、商業系で、今の自分の偏差値より少し高いところにするつもり」
女の子は答えます。
彼女は少しだけがっかりしたような顔をしました。
「じゃあ別々だね」
女の子は笑って答えました。
「卒業したらすぐ就職するんだ。それで少し広めのアパートを借りて、君と暮らすの」
彼女は驚いた顔をしたあと、ゆっくりと微笑みました。
「それすごく素敵」

 

13: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 21:49:28.79 ID:q/u1PmQN0
ある雨の日の夜。女の子は彼女と電話をしていました。
1時間、もっとかもしれません。とても長い時間話していました。他愛のない世間話です。
女の子の部屋に突然、ノックもせずに女の子のお母さんが入ってきました。
女の子はお母さんが大好きです。でも、少し嫌いでした。
お母さんは頑張り屋さんです。仕事も完璧で家事も完璧です。すごく尊敬してます。
でも、その頑張りが時々、女の子を苦しめていました。

 

14: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 21:50:44.89 ID:q/u1PmQN0
女の子のお母さんは突然入ってきたかと思うと、ベランダに繋がる窓を乱暴に開けました。
その様子はまるで鬼気迫るようです。
女の子は戸惑い、彼女にごめん、とだけ言い電話を切りました。
女の子のお母さんはベランダの縁に足を掛けていました。
驚きながらも女の子はお母さんに抱き着き、引っ張りました。
やめて。大きな声で叫びます。

 

15: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 21:51:49.81 ID:q/u1PmQN0

するとお母さんは女の子を突き飛ばしました。
女の子は雨で濡れたベランダに尻餅をつきましたが、お母さんは無事でした。
お母さんは何も言わずに家の中へと戻って行きました。
女の子は呆然と立ち尽くしてしまいました。そして女の子は考えました。
「どうしてお母さんはこんなことしたんだろう」
女の子に降り注ぐ雨がとても冷たそうです。

数分後、お母さんがベランダに戻ってきて言いました。
「何を悲劇のヒロインぶってるの?」
女の子は叫びました。でも、声は出さずに心の中で叫びました。
夜に大声を出しては近所迷惑だからです。

 

16: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 21:53:39.17 ID:q/u1PmQN0
朝起きると、お母さんは普通でした。女の子は昨日は夢でもみていたのかな?と思いました。
けれど女の子はそうではないことを知っています。
女の子は毎日、ノートに日記を書いています。
昨日の日記にはこう書いてありました。
「お母さんが狂った。どうして。わたしが何をしたの。どうしてわたしの部屋を使ったの。どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして涙が止まらない誰か助けて」
ぐちゃぐちゃの字で、書き殴ってありました。

 

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/31(水) 21:56:19.81 ID:4OlbOuMA0
え?

 

18: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 21:57:40.93 ID:q/u1PmQN0
冬になりました。
初めての受験がもうすぐの女の子と彼女でしたが、放課後はいつも一緒に過ごしていました。
最近の女の子は不安で仕方ありません。
受験のことではなく、彼女のことで気になることがあるのです。
最近の彼女は、ある男の子と仲良くしているのです。
それが女の子をとても嫌な気持ちにさせるのです。

 

19: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 21:59:46.44 ID:q/u1PmQN0
「悩んでるの」
女の子は彼女が突然言ったその一言が理解できません。
なんの話なんだろう。何を悩んでいるんだろう。
心配、けれどなぜかその一言を掘り下げてはいけない気がして、女の子は何も言いませんでした。

 

20: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:01:19.48 ID:q/u1PmQN0
クリスマスが近くなりました。
女の子はデパートに出かけました。彼女へのプレゼントを何時間も悩み買いました。
可愛い指輪と、イヤリングを買いました。
女の子はまだ大人じゃないのでピアスは買えません。ピアスをつける穴がありません。
女の子はクリスマスが待ち遠しくなりました。
早くプレゼントをあげたくて仕方ありませんでした。

 

21: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:03:32.46 ID:q/u1PmQN0
それからしばらくたったある日の放課後。
女の子と彼女は喧嘩をしてしまいました。
彼女があの男の子と一緒に帰りたいと言い出したのです。
女の子は嫌がりました。彼女は食い下がります。
結局、女の子が俯き涙目になってしまうと、彼女は帰って行きました。

 

22: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:06:33.98 ID:q/u1PmQN0
女の子は家に帰り、泣きました。
いっぱいいっぱい泣きました。興奮したせいでしょう。女の子は鼻血を出してしまいました。
翌日、学校に行くと、女の子は彼女に呼ばれました。
女の子の前を歩く彼女は、生徒があまり通らない廊下へと進んでいきます。
嫌な予感がした女の子は彼女に聞きました。
「ご用件は」
彼女は静かに言いました。
「ごめんなさい」

 

24: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:08:14.62 ID:q/u1PmQN0
女の子はヤケクソです。
彼女と交換していつのまにか何百枚の数になった手紙をお庭で燃やしました。
その火でマシュマロを焼きました。
女の子はマシュマロを口の近くまで運んだかと思うと、急に捨ててしまいました。
女の子は呟きます。
「あいつの手紙の火で焼いた……こんなもん……」

 

25: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:09:31.78 ID:q/u1PmQN0
冬休み。
女の子は毎日塾に通いました。
受験日は目の前です。
塾から帰る道すがら、彼女と男の子を見つけました。
女の子はとても嫌な気持ちになりました。
二人とも不幸になってしまえばいいと思いました。

 

26: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:11:50.77 ID:q/u1PmQN0
ある日、学校で女の子はいけないことをしました。
男の子と喧嘩をしたのです。
女の子が男の子を殴ったので、男の子も女の子を殴りました。
男の子は目をおさえながら殴ります。女の子は流れる鼻血など気にせず殴り返します。
男の子の友達が男の子を止めました。女の子の友達も女の子を止めました。
それでも女の子は男の子を殴ったので、男の子も女の子を蹴りました。

 

27: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:15:43.16 ID:q/u1PmQN0
先生たちが来ました。
男の子を押さえつけ、女の子を教室から引っ張り出しました。
その時、女の子は視界の端に彼女を見つけます。すごく嫌な気持ちになりました。
女の子は何も言わずに、鼻血と涙を流しながら走り出しました。
後ろで先生が叫んでるのは聞こえましたが、聞こえないフリをしました。
違う先生に腕を取られましたが、すり抜けて逃げます。
女の子は上履きのまま、子供しか知らない抜け道を抜けて家に帰りました。
それからの女の子は学校に行きませんでした。行けませんでした。

 

28: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:17:37.80 ID:q/u1PmQN0
それから女の子は高校生になりました。
お友達に男の子と彼女は同じ高校に入ったと聞かされました。
けれど興味がありませんでした。
女の子は卒業して彼女を幸せにする夢が断たれたのです。彼女に大切にしてもらう夢が断たれたのです。
もう何もかも興味がありませんでした。
ただ、世界中の人が不幸になればいいと思いました。

 

30: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:19:55.93 ID:q/u1PmQN0

女の子は悪い子になりました。
学校にはあまり行きませんでした。
代わりにアルバイトを始めました。いっぱい働きました。働くのが好きになりました。

女の子はどうしても勉強ができません。
机に向かうと、彼女と一緒に勉強していたときのことを思い出してしまうからです。
彼女の痕跡はすべて燃やしましたが、記憶だけは消せません。

 

31: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:21:40.48 ID:q/u1PmQN0

高校卒業間近のある日、女の子はお店の偉い人にお誘いを受けます。
「卒業したらここで働きなよ。働き者の君が居てくれると助かる」
女の子はとても喜びました。
これからの道に悩まなくて済むし、何より人に頼られたのがとても嬉しかったのです。
久しぶりの嬉しい気持ちでした。

その日の帰り道、女の子はケーキを買いました。
チーズケーキと、フルーツケーキと、ショートケーキを二つずつ。
雪が降っていたので保冷剤はもらいませんでした。

 

32: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:24:22.93 ID:q/u1PmQN0

チーズケーキはお母さんが大好きで、フルーツケーキは女の子の妹が大好きなものです。
ショートケーキは女の子とお父さんの分です。
働き口が決まったお祝いです。家族にも伝えようと思いました。
もう真っ暗だったので、女の子は急いで帰ります。

けれど、女の子は悪い子です。
女の子は信号の無い交差点を走って渡りました。
急に女の子は身体が痛くなります。
自分が横たわっていることに気付くのに時間が掛かりました。ケーキを持っていたはずの手が変な形になっていました。
「スリップしてしまって!」
男の人が電話をしている姿を最後に、女の子の視界は閉じました。

 

33: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:26:40.00 ID:q/u1PmQN0
目が覚めた時、女の子は病院にいました。
女の子の寝かされているベッドの脇に肘をついてお母さんが眠っていました。
すやすやと眠っていたので、女の子は肩に毛布を掛けてあげました。
女の子ももう一度眠ろうとしました。
女の子にとって、今のお母さんは普通のお母さんです。昔のあの事件はもう忘れました。
そして女の子は思いました。
彼女のこともいい加減忘れようと。

 

34: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:28:11.28 ID:q/u1PmQN0
男の人がお見舞いに来ました。女の子の知らない人です。
話を聞くと、女の子はこの男の人の車で轢かれたようです。
男の人は深く頭を下げました。
女の子は言いました。
「あなたがすぐに救急車を呼んでくれたから助かったの。気にしないで」
男の人は泣きました。
難しいことは女の子には分かりませんが、男の人は逮捕されないそうです。
女の子はとてもホッとしました。

 

35: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:29:19.02 ID:q/u1PmQN0
男の人には言わなかったけれど、女の子はもう一つお礼の気持ちを感じていたからです。
それは女の子にとって、とてもとても大切なことでした。
彼女のことを忘れる覚悟をする勇気をくれてありがとう。
女の子は心の中で呟きました。
初めて死を近くに感じた女の子は少しだけ、大人になりました。

 

36: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:30:23.27 ID:q/u1PmQN0
女の子はそれからとても頑張りました。勉強もアルバイトも頑張りました。
勉強は嫌じゃなくなりました。
勉強するのが楽しくなりました。勉強して覚えたことをお店の偉い人に教えました。
「僕はもう覚えてないよ。この情報量を全て頭に入れられるなんて、現役の学生はすごいね」
女の子は褒められて、とてもうれしくなりました。

 

39: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:33:34.88 ID:q/u1PmQN0
女の子は社会人になりました。
毎日お仕事です。
女の子にお休みの日は少なかったけれど、とても楽しく感じていました。お仕事に情熱を感じたからです。
女の子はいつの間にか偉い人になっていました。
女の子を誘ってくれた偉い人は、もっと偉い人になって遠くに行ってしまいました。
少し寂しかった女の子ですが、偉い人に「僕の分まで頑張って」と言われたので頑張りました。

 

40: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:35:37.27 ID:q/u1PmQN0
女の子はある日、運命的な出会いをしました。
それはもっと偉くなった人と数年ぶりにお酒を飲んでいた時です。
偉くなった人はすっかりおじさんになってました。
おじさんが良く行くスナックというところに連れていかれました。女の子は初めてだったので少しドキドキしました。
お店は日本の良さのある、少しだけ狭いけどとても素敵な雰囲気のところでした。
カウンターの向こうに、優しそうなおばあさんと、綺麗だけどちょっとだけきつそうなお姉さんが居ました。

 

41: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:36:47.04 ID:q/u1PmQN0
おじさんと久しぶりに会えて嬉しかった女の子はたくさんおしゃべりをしました。
たくさんお酒を飲みました。
うきうきの女の子。
その様子を見た、ちょっときつそうなお姉さんは何も言わずに女の子にお水を出してくれました。
女の子はお水を飲みましたが、ちょっと遅かったみたいです。
バタンッと倒れてしまいました。

 

42: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:39:13.85 ID:q/u1PmQN0
女の子が目を覚ますと、女の子はちゃんと自分のアパートに居ました。
けれど、アパートの部屋の外に居ました。ちょっときつそうなお姉さんも一緒でした。女の子は不思議になりました。
お姉さんは言いました。
「君を送ってきたは良いけど、部屋の鍵が見当たらなくて」
すっかり目の覚めた女の子はお姉さんにぺこぺこ頭を下げました。
「良いから、部屋の鍵は?」
ちょっときつそうなお姉さんは、やっぱりちょっときついみたいです。
女の子はお財布の中から鍵を出しました。なくさないようお財布の中に入れていたのです。

 

44: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:41:43.16 ID:q/u1PmQN0
女の子は自分のために終電を逃してしまったお姉さんを部屋に招き入れました。
お姉さんにベッドを貸して、自分はソファで眠りなおしました。
お風呂に入らずに寝たので、起きたらきっと二人ともお酒臭いことでしょう。
二人はそんなことより眠くて仕方がなかったのでぐうぐう眠りました。

 

45: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:45:25.22 ID:q/u1PmQN0
お姉さんを初めて泊めたあの日から、お姉さんは女の子の部屋に頻繁に来るようになりました。
仕事のあとに立ち寄るのにちょうどいい距離だからだと、お姉さんは言い張りました。
女の子とお姉さんは仲良しになりました。
二人でゲームをしたり、お茶を飲んだり、お酒を飲んだりしました。
女の子は不思議な気持ちになりました。
お姉さんはちょっときついのに、なんで一緒にいるとこんなに心地良いのだろうか。

 

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/31(水) 22:48:58.33 ID:q/u1PmQN0
女の子はその日、お買い物に出かけていました。
お姉さんの誕生日プレゼントを選ぶために、大きなデパートに来ていました。
プレゼントを選び終えた女の子は、帰り道、少しお洒落な喫茶店に入りました。
お客さんが居なかったので、女の子はゆっくりコーヒーを飲もうと思いました。
カウンターの向こう側に、懐かしい顔を見ました。
大好きだった彼女でした。
あれから何年も経ったのに、彼女は相変わらず可愛らしい人のままです。
女の子はドキドキしました。
けれど、それは心地のいいドキドキじゃありません。お姉さんと一緒にいる時に感じるドキドキじゃありません。

 

48: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:51:33.13 ID:q/u1PmQN0
女の子は喫茶店を出ようとします。
「待って」
彼女が少しだけ強く、女の子を呼び止めました。
それでも女の子は喫茶店を出ようとドアノブに手をかけます。彼女はもう一度声を出します。
「お願い、待って逃げないで」
女の子は歩みを止めます。ここから出るということが、彼女から逃げることとなるのであれば、女の子にとっては不本意です。
女の子は喫茶店の中に戻りました。

 

49: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 22:55:15.75 ID:q/u1PmQN0
女の子はカウンターの席に腰を下ろしました。
コーヒーを、と小さく呟きました。彼女は笑顔で「はい」と答えます。
女の子の前にコーヒーが差し出されます。女の子はそれを受け取り一口飲みました。とても暖かく感じました。
「コーヒー入れるの上手だね」
彼女はにっこりと笑いました。
「修業したの」
「じゃあここは君のお店?」
「ううん、店長が出かけてる間だけ私が代理で」
「そう」

 

50: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 23:00:04.08 ID:q/u1PmQN0
女の子は昔、悪い子でした。
でも、もう大人です。社会に出て、自由と責任を知りました。
女の子はコーヒーカップを握ったままこう言いました。
「ごめんね」
彼女は女の子の顔を見つめます。女の子も彼女の目をまっすぐに見つめます。
「君の彼氏を殴ってしまって」
彼女は少しだけ渋そうな顔をしました。女の子から近くの花瓶に視線を移しました。
「そう……だね」
何かがつっかえたような返事です。
この時、女の子は少しだけある期待をしていました。

 

51: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 23:03:49.28 ID:q/u1PmQN0
「君の彼氏、大丈夫だった?」
「うん、痣になっただけだった」
「そう」
女の子は期待しています。しかし彼女は期待に応えませんでした。
「それじゃあ、お元気で」
「あの、またお話できないかな」
「……。また来るよ」
女の子はコーヒー代をカウンターに置いて、静かに喫茶店を出ました。
女の子がこの喫茶店に訪れることは、おそらく二度とないでしょう。

 

52: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 23:09:49.25 ID:q/u1PmQN0
女の子は彼女が一言でも謝ってはくれないかと期待していました。
自分とのけじめをつける前に裏切ったことを。
何が何でこうだからごめんなさい。そんな面倒な言葉はいらないと思っていました。
ただ、ただ一言「ごめん」と。
たったのそれだけでも良いと思っていました。
けれど、それは聞けませんでした。
もしかすると、彼女は何も感じていないのかもしれません。
今も昔も。

 

53: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 23:15:11.67 ID:q/u1PmQN0

ある日、お姉さんは女の子に言いました。
「私が勝ったらルームメイトになりましょう」
その日もお姉さんは女の子の家に入り浸っています。仲良くゲームをしていました。

結果は女の子の勝ちでした。お姉さんは無謀すぎる、と女の子は思いました。
女の子はゲームが大好きで、得意だったのです。
お姉さんは言います。
「さっきのは君が勝ったら私が住んであげるという意味だった」
女の子はげらげら笑いました。
そして快く受けました。お姉さんと一緒にいると心地良くなれるので、断る理由はありませんでした。
女の子が困るのはこれから少しあとのことです。

 

55: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 23:22:22.00 ID:q/u1PmQN0
それから少しあと、お姉さんが女の子の部屋にお引越ししてきました。
しかし大変です。
お姉さんの荷物がとても多いのです。
女の子の借りている場所には、お部屋が二つとキッチンとお風呂とトイレがあります。
それだけではとても足りません。
仕方がないので、お姉さんはベッドを捨てました。
「君と一緒に眠るから良いよね」
そう言われた女の子は少しだけドキドキしました。

 

56: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 23:28:44.87 ID:q/u1PmQN0
夜になりました。眠る時間です。
女の子とお姉さんは同じベッドに入りました。少しだけ狭いけれど、暖かいので大丈夫でした。
お姉さんは小さな声で女の子に話しかけました。
「起きてる?」
女の子は「起きてますよ」と答えました。お姉さんは言いました。
「君と暮らせるのがすごく嬉しい」
女の子もお姉さんと暮らせるのが嬉しかったので、そう伝えました。
お姉さんは何か、照れているようでした。部屋が暗かったので女の子はよく分かりません。

 

57: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 23:32:47.52 ID:q/u1PmQN0
「実は君に惚れている」
お姉さんはさっきよりもずっとずっと小さな声で言いました。
けれど女の子は聞き逃しません。
女の子はお姉さんの手をそっと握りました。
「私も、いつの間にかあなたに惚れていました」
お姉さんは女の子を少しだけ強く抱きしめました。

 

58: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 23:34:26.05 ID:q/u1PmQN0
女の子はそれまで以上に一生懸命働きました。
お姉さんは大学の先生になっていました。
二人とも忙しい毎日でしたが、毎日、少しだけだったとしても必ずお話はしていました。
二人がすれ違うことの無いように。
それはきっと無意識で、二人は気付いていないのでしょう。
お互いを大切に思う、だからこそどんなに生活時間がすれ違っていたとしても、気持ちを違えることの無いように。

 

59: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 23:40:28.19 ID:q/u1PmQN0
女の子の知らぬ間に、彼女の気持ちは違えていました。
女の子は違える前兆に触れていました。
でも分からなかったのです。気付けなかったのです。
女の子は彼女をこれから先もずっと大好きでいると思ってました。
だから女の子は彼女も女の子をずっと大好きだと思っていたのです。
でも、人の気持ちは難しいのです。女の子が女の人を愛することは、もっと難しいのです。
今の女の子は、それを良く知っています。

 

60: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 23:42:25.22 ID:q/u1PmQN0
女の子とお姉さんは今日も一緒です。今日は二人ともお休みです。
女の子の部屋で、ゆっくりとお茶を飲んでいました。
お姉さんが女の子に言いました。
「君とキスがしたい」
女の子は驚きと、少しの恐怖を感じました。
「デジャヴ……」
女の子が小さく呟きます。

 

61: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 23:44:32.70 ID:q/u1PmQN0
お姉さんにはなんのことか分かりません。お姉さんは女の子の顔を覗き込みました。
「嫌?」
「キスはしたいですが、怖いです」
女の子の手は震えています。女の子は彼女のことを考えていました。
彼女と以外はキスをしたことがありません。
彼女以外の人を好きになったのは初めての女の子です。
女の子は上手く言えませんが、とても怖いのです。

 

62: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 23:49:23.49 ID:q/u1PmQN0

「何が怖いの」
お姉さんの口調は優しくて、怒っているのとは違いました。
女の子は説明しようと思いましたが、良い言葉が思いつきません。
少し、考えます。

「好きな人と近づけば近づくほど、離れられなくなります。
あなたとこれ以上近づいてしまって、もしさよならをすることになった時がきたら。
もう私は私じゃなくなってしまうかもしれない。とても好きで、とても怖いんです」

女の子は一生懸命に思いのたけをお姉さんにぶつけます。
女の子はお姉さんのことが大好きです。
けれど、同じくらいに怖いのです。

 

63: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 23:55:17.09 ID:q/u1PmQN0
お姉さんは静かに、そう、とだけ呟きました。
お姉さんは女の子に背を向けてテレビを見始めました。
なんだか女の子は息が苦しくなりました。
好きなのに顔を見られない、お姉さんに心を向けられない。
こんなにも大好きなのに。

 

64: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/10/31(水) 23:59:40.67 ID:q/u1PmQN0
「あのさぁ」
お姉さんは突然、ぶっきらぼうに女の子へ話しかけます。
女の子は顔を上げ、お姉さんの方を見ました。お姉さんも女の子の方を見ています。
「怖いの、分かるよ。でもね、それ以上に私は君が好きだよ。その恐怖、無駄だよ」
お姉さんは真っ直ぐに女の子を見つめます。女の子は顔が真っ赤になりました。

 

65: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/11/01(木) 00:05:22.97 ID:msbSSvWN0
女の子は、無駄とは?と短く呟きます。
「……意味、分かってるでしょ」
女の子は首を横に振りました。
言葉にしてくれなければ分かりません。分かっても、確信になりません。
女の子は、期待や希望ではもう嫌なのです。
性が同じもの同士の愛はとても難しいのです。
心が繋がっていると思っていても、気付いた時にはすれ違っているのです。
お互いの求めるものが違っていることもあります。
精神的な支えなのか、それともそうではない何かなのか。

 

66: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/11/01(木) 00:10:28.97 ID:msbSSvWN0
「君は私にフラれてしまうんじゃないかって、そしてその後のことが怖いんでしょう。そんな恐怖は無駄なの。必要ないの」
女の子はじっとお姉さんを見つめます。
お姉さんは決して女の子から視線をずらしません。
「君が私を好きじゃなくなるか、お互いどちらかが死ぬか、それまでありえない。断言してあげる」
女の子はどう言葉を返せば良いのか分かりませんでした。
こんなに素直で、ストレートな言葉を受けたことはありません。
とても幸せでした。

 

67: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/11/01(木) 00:15:47.96 ID:msbSSvWN0
お姉さんは女の子に近寄り、座りました。
それから女の子の顔を手で触れて、優しく撫でました。
そしてお姉さん、そっと、キスをしました。触れたか触れないか、分からないくらい、優しいものでした。
女の子は今までに感じたことの無い幸せを感じていました。
こんな幸せをお姉さんは自分にくれた。私もお姉さんを幸せにしたい。
女の子は強く、強くそう思いました。

 

68: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/11/01(木) 00:18:34.66 ID:msbSSvWN0
ある日、女の子とお姉さんは大きなデパートにおでかけしていました。
すれ違った夫婦を横目に見たお姉さんが女の子に言いました。
「いつか結婚したいね」
それを聞いた女の子は少しだけ寂しい気持ちになりました。
女の子はずっと前から知っているのです。
人が一番に願う夢はほとんど叶わないことを。

 

69: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/11/01(木) 00:23:01.99 ID:msbSSvWN0
お姉さんは女の子のそんな気持ちを感じたのでしょう。
一目も憚らずに女の子の肩を抱き寄せました。
「君と私が一生懸命望めばきっとできるよ。一人の願いは小さいかもしれないけれど、それが二人になれば大きくなる。それとも願っているのは私だけ?」
女の子はにっこり笑いました。
お姉さんとなら女の子は夢が叶えられそうな気がしたからです。
女の子は思いました。
この人と、二人で幸せになりたいと。

 

70: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/11/01(木) 00:29:09.80 ID:msbSSvWN0
お姉さんが言いました。
「ネットで見たんだけどね。誰かに幸せにしてほしい、が恋。不特定の誰かを幸せにしたい、はエゴ」
女の子はなんの話だろう、と不思議がりました。
女の子の不思議そうな顔を見たお姉さんは言葉を続けます。
「それでね、誰かに幸せになってほしい、が愛。私はね、君に幸せになってほしいの。私がそばにいることが君の幸せだと思っているの」
女の子は俯いてしまいます。寂しいからじゃありません。悲しいからじゃありません。
とても嬉しくて、幸せで。なのに涙が出てしまったからです。

 

71: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/11/01(木) 00:34:34.49 ID:msbSSvWN0

「私もあなたの幸せを心から願う」
「じゃあそれは愛だね」
「そうですね、恋じゃない」
「幸せになって」
「もう幸せです、あなたのことも幸せにしたい」
「お願いします」

女の子とお姉さんは仲良く歩きます。
これからの二人に何が起こるかはわかりません。
けれどきっと大丈夫でしょう。

おしまい。

 

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/01(木) 00:36:21.91 ID:9p3vEQzrO

>>1

したら同棲中なの?

 

74: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/11/01(木) 00:37:57.78 ID:msbSSvWN0
>>72
ありがとう。
そうです。今も生活サイクルが結構ズレてしまってますが。

 

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/01(木) 00:38:15.57 ID:Hz+Z5CIv0
ハッピーエンドでよかった

 

76: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/11/01(木) 00:40:14.52 ID:msbSSvWN0
>>75
今後どうなるかは分かりませんがとりあえず今は幸せです。
読んでくれてありがとう。

 

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/01(木) 00:41:57.34 ID:0wuC52swO
お疲れ様

 

83: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/11/01(木) 00:50:08.80 ID:msbSSvWN0

>>81
ありがとう!

>>82
そうでしたか、良かった。
おお!そうですか、うん、うん。ありがとうです。
今もどんなに忙しくても数分だけでも話すようにしてます。
あなたの幸せも続きますように。

 

84: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) 2012/11/01(木) 00:51:43.16 ID:msbSSvWN0
それでは休みます。
ただの垂れ流しを読んでくれた皆さんありがとう。
そして読んでくれた皆さんに幸せが訪れますように。

 

87: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:15) ◆o6MwgEuo2Bti 2012/11/01(木) 00:58:26.04 ID:Lrh33YSW0
読みおわった
お幸せに

 

 

元スレ:色々すっきりしたから少し、昔話をさせておくれ